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デヴァ鎮圧戦争が終結し、徴兵に応じ戦った戦士たちが故郷へと帰還する人波の中に彼女は居た。後にムーングレイバーと呼ばれる、キャスタニック一族「月の家門」最後の一人。彼女の故郷の村は、キャスタニカから遠く離れ、他の種族たちの目を避けた奥地にあった。立地が功を奏したのか、開戦当初、多くのキャスタニックの住処がデヴァ族に襲撃されていたが、この村の被害はとても少ないものだった。彼女が故郷への帰路についたころ、村のキャスタニックたちは指導者が戦争の犠牲になっていたことを知る。指導者を喪った重い空気の中、各家門の当主のたちの間では次の指導者をどうすべきか密かに話され始めた。難儀なことに、その村は武力を持つ家門が多く寄り集まった村でもあったため、指導者は誰よりも強いことが求められていた。家門ごとに猛者同士が戦い、最たる者を指導者に選出する規則があったが、次代を担う武術者の中では月の家門が最も強く、猛者同士を戦わせるまでもなく誰もが確信を持って「次代の指導者は月の家門から選出されるだろう」と感じていた。そう、火の家門の当主を除いては。曰く、月の家門の特異的な強さは、代償を要する秘伝の術があるに違いないと噂されていた。それこそ、あまりに突出した月の家門の強さに対する羨望と尊敬の念から出た噂に過ぎないはずだった…。実力では月の家門に劣るが、他の家門に比べれば十分な力を持っていた火の家門の当主。「月の家門さえいなくなってしまえば、新しい指導者は火の家門から輩出することができる。幸いなことに、月の家門で最も優れた彼女は戦争へ行ったのだから。」月の家門を根絶やしにするために他の家門の理解と協力が必要だと考えた火の家門の当主は、噂を逆手に取り、他の家門を煽る。「月の家門が持つ秘伝書を見つけた。」他の家門を召集、密かに入手したと言って、存在するはずのない偽りの月の家門の秘伝書を開示した。秘伝書を見た他の家門の当主らは怒り、全家門総出で月の家門の処分を決定する。秘伝書にはこう書かれていたのだ。『同族の血で濡れた刃を月光で鍛える』陽が沈み、夜が更け、静寂に包まれる満月の夜。ようやく訪れた平穏に身を委ねるように、無防備に眠る月の家門は一人残らず惨殺された。時を同じくして、彼女の戦地からの帰路は終着地点の目前。村も目視できる距離まで辿り着いていた。この戦争の徴兵が行われたあの日、彼女の村からは誰一人として応じようとはしなかった。一人も参加しない非協力的な村があったなどと言われてしまえば、連合からも同種からも徹底的に排斥されるのは明白だった。村の未来を憂いた彼女は、村を代表して一人戦地へと赴いた。そして、長い、長い戦いを終えて、生き残った。立派に戦い、生きて帰った自分が誇らしくもあり、喜ぶ家族の姿を思い浮かべながらくすりと微笑む。身を切るような戦地での疲れなど、微塵も感じなかった。「戻りました!」彼女を待っていたのは、皆殺しにされた家族と武器を持ち返り血にまみれた村の皆。あふれそうな悲しさを覆い隠すように、感じたことのない怒りがわきあがる。ただ徴兵され戦った敵よりも、ようやくたどり着いた「家族が待つ家」を血で染めた同族に強い憎しみを覚えるのは自然なこと。そして彼女は、自分の武器「グレイブ」で村人を殺した。奇しくも、火の家門の当主が開示した偽の秘伝書をなぞらえるように、同族の血にまみれたグレイブの刃は月光の元で煌いていた。

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